義母、糖尿病内科の日

糖尿病内科の定期受診の日です。私、正直糖尿病については全く理解もしていませんでした。血糖値がいつも高い病気。その程度の理解でした。

義母の通院付き添いをやっていると、否応なく糖尿病についての先生のお話を聞くことになるので、最近少しづつですが知識が増えてきました。

「数値が不安定ですね」

「はい」

「お薬ちゃんと飲んでいますか?」

「飲み忘れはないようですね」

「食べ物には気をつけていらっしゃいます?禁忌は守っていますか?」

「お菓子や加糖飲料は飲んでいません。ビタミンK類も食べていません」

「それでこの数値ですか〜。毎回、バラツキがあるのでコントロールが難しいんですよね〜。難しいですね〜」

「特に変わったことはしていないと思います」

「他の薬なのかな〜。強くすると効きすぎる時があるし、反対に強くしても効かない時があるので、非常に難しいんですよね」

「どうなんでしょうか〜」

「今回も薬を調整しますね」

「よろしくお願いします」

このようなやりとりを、難聴の義母に変わって私が行います。

義母の糖尿病の診断をする上で先生がよくお話になる数値は、血糖値とHbA1cの2つのようです。母は平均して血糖値250、HbA1cが7を超えることがほとんどです。目標範囲で言うとHbA1cを6%前半にしておきたいということで、月1程度で検査通院をしています。

義母の検査は、血液検査と尿検査が必須でして、だいたい朝8時25分頃には病院に着いています。そこから内科の受診が始まるのが早くて11時頃です。1番時間がかかった時は12時半でした。診察予約を入れておいての4時間待ちですから、このくらい待ちが長いと流石に待ち疲れをします。それは義母も同じのことでしょう。もう80歳手前の人が、病院の座り心地の悪い長椅子でこんなに待つなんて、本当に大変。だから健康でいようと多くの老人たちは運動したり食生活に気をつけて健康維持をするのでしょう。それは賢明なご判断だと思います。

義母のマナー。一般常識?空気読めない?

私ってマナーどうやって覚えたかな?と思い出していました。子供の頃にも親から教えられたし、その後、学校教育や地域の活動、もちろん社会に出てからもたくさん学んできたと思います。

義母の行動をみていると、どうも???なところが多いです。確か中学校卒業って言ってたけど、その後会社で働いていたとも聞いていましたし、家庭を持ち子供を教育してきたと思いますので、人に教える立場を経験してきたのであればそれなりにマナーというものを覚えてきたのではないかと思っていました。実際、妻のマナーはごく普通なのがその証拠だと思います。

最近義母の様子をみていると、私が学んできたマナー、一般常識、または空気を読むとか言いますけどそれとは少し違った行動をとることが多くて。その度に「え〜、マジで?」ということが多くなってきました。

私が戸惑った母の行動

  • エレベーター。降りる人先ということがマナーと思っていましたが、義母はドアが開いたと同時に乗り込む
  • ビニールなど、口が開けられないものがあると、指をペロりとして開ける。その指は洗わないし拭かない。
  • ティッシュ。鼻をかんだり目ヤニをとったりしたものを、黄ばむまで使い回す。そして衣類にポケットがついていればそこに入れる。
  • テーブル布巾で床を拭く
  • 砂糖などがついたスプーンをペロッと舐めて、そのまま洗わない
  • 手を洗うという習慣がとにかくない。ゴミや土、排泄終わりに触った手すら洗わない

これらは公共スペースや家の中とか、他人が絡んだスペースで行う問題行動の一部です。他、細かいものは忘れてしまうほど大量にあるので割愛します。ちなみに、他人が絡まない、自分だけのパーソナルスペースで行う問題行動もありますが、これを言い出すとキリがないのでやめます。

行動は変えられるものもある

よく「長年染み付いた癖」とか言いますよね。だからやめられないのだと。しかし、やめられるものもあるようです。

私が義母にやめてほしいことをお願いする際、いつも心がけていることがあります。

  • やめて欲しいことを明確に、しっかり伝える。「これをやめてほしい」と伝える
  • やめて欲しい行動について、この行動をするとどうなるのか?をしっかり伝える。「手を洗わないと、その汚れた手で後から触ったものがどんどん汚れていく」など。
  • 必ず理由を伝える。「エレベーター。先に降りる人を優先しないと、降りたい人が困るから」とか。「テーブル布巾で床を拭くと、次にテーブルを拭くときは床の雑巾で拭くことと同じことになって、気持ち的に許せないから」とか。遠慮せずに「嫌だ」という意思表示をしっかり伝える

これらを心がけています。やりはじめた当初、毎回「注意があります」からスタートする話に、義母が身構えていたことを覚えています。今は普通に聞いてくれます。おそらく行動についての問題点とやめて欲しい理由がセットだからだと思います。これは、ただの悪口や批判ではありません。「エレベーターは降りる人が先なんだ!覚えとけ!」なんて言ったら、聞く方も攻撃されただけと捉えますよね。「なんだその言い草は!」となります。これでは絶対に伝わらないです。

偉そうなことを説明してみましたが、義母の現在の様子は注意した数週間は気を付けるけど、そのうち忘れてしまいます。その都度また同じ注意を行います。この繰り返しです。エンドレスな感じはありますが、やらないよりはマシ。介護って本当に大変だと思う瞬間です。

義母、ウンチのお漏らしをして、汚れた手でいろいろ触る

勘弁してほしいです。

うんちを漏らすのは、生理現象で仕方ない部分があると理解しているので、それについては事後処理をすれば、仕方ないよね〜と割り切れます。誰でもする可能性がある失敗なので。だけど!うんちの処理もろくにせず、あろうことかうんちがついたままの手を洗いもしないでいろんなもの触るってどういうこと?と怒りがこみ上げてきました。

買い物から帰ってきて、玄関を開けた瞬間、うんちの臭い。いつも思うけど、我々が外出して帰る度に、義母が問題を起こしているような気がしています。これも病気の影響かなにかでしょうか?精神的に不安を感じると、パニックを起こす的なものだろうか?とか。

トイレを確認すると、やってました。掃除はした形跡がありましたが、拭きが甘すぎで便の残りカスのようなスジがいろんなところについてます。手すりとかにも・・・あ〜あ。消臭スプレーを手にとってプシュっとしたら、何か嫌な感触。スプレーもうんちの手で触ってたようで、カスが残っています。手を洗いに洗面所へ行くと、洗面所もうんちの臭い。いろいろ探したけど見つかりませんが、手拭きのタオルの部分がどうも臭い。これだなと交換。

「うんちした手を洗わないで、いろんなところ触ったでしょ?」

「手を洗ったりしたけど、他は触ってないよ」

「手を洗うのに、蛇口触ったし、トイレから出る時にドアノブ触るでしょ?」

「・・・」

「どういう感覚してるの?」

「ごめんね、迷惑かけて」

「漏らすのは仕方ないとして、なんでそれを処理した手を確認しないの?うんちついた手でいろいろ触る人なんて、いないでしょ?わからないのこういう感覚?」

「わかんない」

「そうか、わからないからやってるんだものね。無駄なこと聞いた」

「・・・?」

これ以上会話をしても、私の血圧が上がるだけなので、無駄だから止めました。

普段から、汚いものを触って手を洗わない人だと理解していましたが、まさか排泄物触っても洗わないとは思わないですからね・・・信じられない不潔さだなと思いました。

妻には言えませんが、こんな人と一緒に生活していなくてよかったと、つくづく思ってしまいました。衛生観念はまともに育ててくれた実の親に、少しだけ感謝しています。

マウスピースを捨てちゃった義母

前回の歯科点検以降、義母の歯の治療がスタートしていました。抜歯が必要だったため、紹介を受けて現在通院している大学病院で治療を行うことになりました。血栓を予防するための薬を使っているので、出血が止まらないからだそうです。

案の定、抜歯の度に歯茎からの出血がなかなか止まりません。びっくりするほど止まらないようです。場合により縫合も行うのですが、母の場合縫合してもなかなか止まらない。綿球というのでしょうか、まんまるの綿を噛んで処置を終えてきました。

「今回縫合しました。処置した部分を保護するためにマウスピースを入れておきました。おうちに帰ってからもマウスピースはそのままつけていてくださいね。今噛んでる綿は血が止まったら捨ててもらって、新しい綿に交換してください」

「わかりました」

これで帰宅。病院でわかったとは言ってたけど、恐らく義母はわかってないとすぐに気がついた。義母がわかっていない時の顔はもう把握しているので。

「言われたことわかった?」

「今歯に入れているもの、血が止まったら捨てて交換するんでしょ?」

「綿だけね。今噛んでる丸い綿だけだよ。マウスピースは捨てないでね」

「マウスピース?」

「透明なやつ。それ。」

「これね」

「わかった?」

「うん、わかった」

「綿だけ捨てるんだよ?」

「大丈夫、わかったわ」

そんなことで翌日。洗面所のゴミ箱をみたら、マウスピースが捨ててあった。そして母から

「朝ごはん食べたけど、食べ物噛むと昨日の治療した部分痛いのよね〜」

「マウスピースはどうしたの?」

「マウスピース?」

「口に入れていたやつ」

「あ〜捨てたよ。だって捨てて交換しろって言われたやつだよね?」

「それは綿だけね。昨日言ったじゃない・・・」

「そうなの?」

「・・・(このバーカ)」

予想どおりの展開でした。ちなみにこの会話、血が止まったら綿だけ捨ててマウスピースは捨てずに残すという、義母にとっては1番苦手な条件付きの行動だったため、筆談も交えて説明しました。それでもこの結果だったのでした。

知能のレベルがヤバい

義母をめぐって妻との不和

義母の介護をめぐって、妻との不和があります。原因が義母の問題行動です。妻側の言い分としては

  • 病気なので、仕方ない部分がある
  • 元々の癖や生活習慣なので、簡単に変えられない部分がある
  • ある程度大目に見てあげる必要がある

このような感じだと思います。私はこの言い分も理解はできます。ただし、これは実際に体感していない人の理想論のように思います。妻も今まで生きてきて、こういう理想だけではどうにもならない現実的な負担やストレスを違う場面で経験はしてきているはず。なぜ実際に介護を担っている人の立場に寄り添う意見を入れないのだろうかと、私としてはこういう言い分に違和感を覚えます。

私の言い分はこうです

  • 病気なので仕方ない部分があるのは理解している
  • 元々の癖や、生活習慣は簡単に変えられないとは思うけど、変えようとする努力はできると思う。
  • ある程度大目にみてあげて、それでも困っているから愚痴をこぼしている

です。私も「老人なんだから、そんなものだよね」とか「介護って大変だから、そういうものだよね」という綺麗事があるのは承知しています。ただ今の私にそれを受け入れる余裕などありません。毎日毎日、繰り返される問題行動。何度言ってもやめない癖、決定的な衛生観念の違い、こうした問題が出る度に義母に“任せる”ことができなくなって、その負担がひとつづつ増えていく自分。これをストレスと言わずしてなんと言うのだろうかと。

妻に義母の話をしていると、顔が曇ってきます。なぜかと聞いてみると

「お母さんが失敗している話ばかり聞くと、まるで悪口を言われている気がして、自分も否定された気になる」

だそうです。どうやったらそこまで飛躍するのか私は全く理解できませんが、妻の言い分によればそうなんだそうです。私がよく言う失敗した話というのは

「今日、飴をこっそり買って全部食べ切ったんだよ。先生から何度も食事の注意されているのに、どうすれば良いのかね?困った人だよね」

この程度の話です。これ悪口なのでしょうかね?私の感覚だとこれはただ起きた事実を伝えたまでの話です。困った人だねというのが悪口とも取れますが、そこはこちらの気持ちも察して欲しいというのが私の主張。そしてこの相談に妻がもし「それはダメだね。私からも注意しておくね」の一言があれば、私も納得する部分があるでしょう。

妻はこういう話になると「頭の病気もあるから、仕方ないんじゃない?第一言っても無駄だし・・・」こういう解釈をします。結局解決すら諦めなきゃならないってことですよね。で!これを対処するの誰?ってなるのです。自分は直接見てないからそういう諦めのようなことを平気で言えるんだろうと。あなたの立ち位置間違ってない?と思います。

こういうことが積み重なって、不和を抱えています。根が深い問題になってきています。

自分の親の面倒を見ているパートナーの気持ちを理解できないのだろうか?寄り添うって言葉を知らないのだろうか?こういう気持ちがずっと消えません。一言でも、その場を取り繕う嘘でも構わないから、「そうだよね、大変だよね」の同調の言葉が欲しいです。

健康保険証が盗まれたと義母の訴え

義母の健康保険証が見当たらなくなりました。確か直近で使ったのは義母が歯医者へ通った時だったよなと思い出しました。歯医者だけは義母ひとりで通えるようになっていました。

「お義母さん、自分で保険証使ったよね?」

「そうなのよね。どこにやったのかしら?」

「渡した保険証袋に入れなかったの?」

「入れたと思ったんだけど」

「バッグの中は?」

「探したけどないの」

「落としたとか?」

「わからない」

こんなやりとりをしました。これは日常茶飯事だったので、毎回注意していたがまたしても物忘れ。義母の悪いところは、同じところに物を戻さないところ。これは義母に限らず物をよく無くす人の典型的な悪癖なんだと思います。決まったところに戻す。これで物の紛失は減ります。そんなことをしていたら義母が突然

「たぶん、大工さんじゃないかしら?持っていったのかも」

「は?」

「ここ何回か出入りしてたから」

「リフォームしているからね。そりゃ出入りするよね」

「さっきここにいた人だと思うんだよね」

5月のGW明けから、我が家でリフォームがはじまっていました。そのため工務店さんが出入りしていたのです。

「・・・あのさ。そういう根拠のない話はやめてくれない。だいたい大工さんが今二階にいるのに、聞こえたら失礼だと思わないの?証拠もないのに泥棒扱いするわけ?だいいち、あなたの保険証盗んだとして、何に使うの?意味ないじゃん」

「だって・・・」

「だってじゃないから」

「あらそう?」

「もう一度探すから。泥棒扱いとかするって良く無いよ」

「わかった」

内心「お前が失くしただけだろ」と思っていました。義母の押入れを探してみました。いつも使っているバッグのポケットをもう一度探す。あれ、あるじゃん!

「あったよ」

「え?どこに。良かった〜」

「バッグにあったけど」

「誰の?」

「あなたのに決まってるでしょ!他に誰のバッグがあるのよ」

「ごめんね〜」

「謝るなら、疑った大工さんに言って。自分の物忘れを棚にあげて人を疑うなんて、人として終わってるからね。やめなさいよそういうの」

「そうだね。なんか私オカシイよね」

今頃気づくな。一件落着でした。