義母の珍回答集

義母は難聴と精神疾患の影響からか、とにかく会話が成立しません。交わらない平行線のような会話になることがとても多いです。

噛み合わないとなると当然、面白い発言もたくさん出てきます。そんなものを集めてみました。

数じゃないから

「たまよ(義母)さん、おいくつですか?」

「どれがですか?」

これは看護師さんからの問診で出た珍回答です。いまだに謎です。いつも普通に年齢を答えていますがこの時なぜ年齢ではなく、看護師さんの手元をずっとみていたのか、本当に不思議です。我々には見えない何かをみていたのでしょうか?私は隣で吹き出しそうになって堪えていました。「誰も数のこと聞いてないって!」

そんなこと聞いてない!

「たまよさん、お体の調子はどうですか?」

「なんかまた最近聞こえてくるんです・・・」

「そんなこと聞いてない!」

これはリウマチ内科の老先生から激怒された時の話です。突然先生がブチギレたので、私も何が沸点だったか最初わかりませんでした。義母が体のこと聞かれたことについて幻聴のことを答えたのはわかりますが、そこまでキレなくても。義母はリウマチ内科に来てるのがわかっているのに、この時に限ってなんで精神科の話を始めました。いつもはこんなことないのに。

ハークされてる。

義母が入院中に書いた手紙を読んでいた時のことです。

アミダは、私の今いる場所をハークしている。なんでそんなことわかるんだと聞いたら、足の裏に盗聴器を5本埋め込んだんだって言ってた。お前の居場所はすべてハークしてるからと。アミダが怖い。いつも話しかけてくる。

こんな手紙でした。ハーク=把握というのはわかる話ですが、気になったのが、カタカナだったところ。このパターンの間違いですと、漢字がわからないというものではなく、はあくという言葉を知らなかったということなんだなと。義母の中ではハークなんです。

ゴーボーだぁ。ゴーボーだぁ。

以前書いた日記に書きました。ゴーボーだぁ。言い方もセットでこの言葉のパワーが増すと思いますが、インパクトは大でした。なんか、わかるんだけどどっちなの?って漢字でモヤモヤする言葉ですよね。横暴だ〜か、傲慢だ〜なんだろうけど。

捨てるものは何もないよ

「お義母さん、何か捨てるものない?」

「何もないなぁ」

「いや、あるでしょ?出して」

「何もないよ。私、捨てるものは持ってない」

「何も?じゃあ要らないものどこに捨てたの?使ったティッシュとか」

「なんだろう?捨てないね。私、捨てるものないの」

「違う違う、明日ゴミの日だよ」

「あ〜ゴミね。あるよ」

膝から崩れるということを聞きますが、これ初めてわかりました。あまりにもバカ過ぎるやりとりだったので。何のことを勘違いして、捨てないって意地になってたのだろうかと、不思議に感じたやりとりでした。

お義母さん、ご飯ね

「お義母さん、ご飯だよ」

「え?5番?」

嘘みたいな話ですが、義母は普通にこういうのあります。あり過ぎるので記憶もしてません。難聴なのでわからなくもないですが、夕方、ご飯の時間、私が呼びに言っているということをトータルで判断して、ごはんだな!と思わず、なんの脈略もない5番と解釈する義母。これ・・・判断の能力云々で済む話なのでしょうか?もっと何か病気が影響しているのでしょうか?

退院早々の通院ラッシュで心が疲弊

めちゃくちゃ忙しいです。付き添いが完全に仕事の一部と化しています。私は在宅ワーカーのフリーランスで時間の都合は自分で好きなように設定できるので、それだけが救い。時間拘束のある仕事だったら、即仕事を辞めていたと思います。一度や二度、付き添いしただけではわからないのがこの通院付き添い。うちの義母の場合通院だけでもやることがこれだけあります

  • 前日の声かけと出発時間のメモ書き(忘れていることが多いから)
  • 当日の指示のメモ書き(尿検査だから直前に出し切っていかないようにとか。そこまで細かく)
  • マスクや義母が持っていくもののチェック。服装なども季節感がわからないので、へんてこな格好の時は指導。
  • 出発した後の義母の部屋チェック(テレビやこたつ、電気がつけっぱなしなどザラにあります)
  • 病院で受付・受診のルート案内(義母は当日、何科に行くかすら忘れることがあります)
  • 間違いのチェック(尿検査に行くのに、眼科へ行ったりするから)
  • 看護師さんとやりとり(難聴のため、ひとりでは何もできませんし、時間がかかりすぎて間違えるので、完全にこちらでやりとりします)
  • 受診と先生とのやりとり
  • 会計・薬局への手配(アプリで事前受付して、義母に薬だけを取りに行かせてます。脳トレと運動の一環)
  • 当日の検査結果と、それについての義母へのレクチャー。これの時間がかかる。血圧が高い場合は食事・運動などの指導、血糖値が高い場合は生活の聞き取りと運動や食事方法、服薬の徹底などの指示。
  • 義母の家計簿つけと、次回受診のスケジュールセット。それを義母への伝達まで

以上です。付き添いが必要な人の通院は、だいたいこんな感じになるのだろうな?と思っています。たまに病院で遭遇する、親子だろうなと思われる患者さんとその付き添いの方。会話が聞こえてきたりします。

「次、私の番じゃないのかしら?」

「そんなの、呼ばれないとわからない!黙って待ってて」

「何時間待たせるんだろう・・・」

「仕方ないでしょ?先に患者さんいるんだから。順番だって言ってんじゃん・・・(ったく!みたいな舌打ちが聞こえたような)」

「はぁ〜あ。疲れた」

「こっちもさ・・・まあいいや。とにかくおとなしく待ってて」

母と娘でしょうか。言葉遣いに遠慮がないので、嫁姑ではないはず。妻にこういうことを話すと「何聞き耳立ててるの?」って言われますが、いやいや!あれだけ大きな声で隣でしゃべってれば、聞きたくなくても聞こえるんだって!わかってないなぁ・・・。

最後に娘さんが言った「こっちもさ・・・」で止めた言葉。ヒートアップして大きな声になっていたのを我に帰って遠慮したみたいでした。その次の言葉を私が代弁します。

「こっちもさ、あんたがひとりで通えないおかげで、来たくもない病院にきて一緒に待たされているんだから。あんたが疲れた以上にこっちが疲れてんだよ!」的なことだったのでしょう。

疲れているのは私だけではないとわかって、ホッとする瞬間です。怒り狂っている付き添いの人をみていると、自分のかわりに言ってくれてると感じて、なんとなくストレス発散になるんです。不思議です。

義母が退院してきました

義母が退院してきました。また落ち着かない同居生活が再開します。まあでもだいたい慣れてきたから前回ほどの苦は感じません。避難するためのサブリビングも設けたので、こちらがシンドイときには遠慮なく逃げることもできます。長丁場の介護には介護する側の心のケアも必要だと思います。自分たちの健康は自分たちで守らないと、共倒れだけは避けなければなりません。

それにしても、義母が退院してくると考えただけで、あの顔、笑顔や歩く姿、おどおどした様子などがいちいち目に浮かびました。たぶん心の底から拒否しているのだろうなと思います。これを毎日隠しながら生活していくので、またストレスフルな生活になる覚悟を決めました。