朝から、義母に何度も呼び出しをされます。徘徊は治まったものの今度は幻聴で外出も怖くなったようでした。薬を強くした影響からか呂律も回らず、私がイメージするところのまさに、“精神病患者”のようだった。
「外にいるのわかる?聞こえない?」
「何が居るの?私には聞こえないけどね」
「あ!いま、ここの裏にいるよ」
「そうなんだ〜」
「怖くて外に行けない」
「しばらくしたら居なくなると思うよ」
「嫌だわ〜」
こんな会話を毎日繰り返しています。否定しても全く意味はないので、慣れっこになった私はむしろ会話を盛り上げてコントロールします。
「外に居ても、家の中には入ってくることはできないから安心だね」
「わかった。ごめんね変な話をして」
「いや全然。アミダはここまで車で移動してくるの?」
「そうみたい。車で近くまできて歩いてここにくるみたい」
「ちゃん子も乗せて連れてくるのかな?」
「そうだと思う。一緒になって私を攻撃してくるの。家を返せ〜!って。クソババアなんて言うんだよ。アミダに騙されて昔のちゃん子ではなくなったんだよね」
「アミダが悪いんだね」
「そうね〜」
「もう少しするとアミダはいなくなると思うよ」
「そうだね。ごめんね心配かけて」
「全然問題ないよ。落ち着いてね」
妻はこういう会話がはじまると怒り出します。「なに訳わからない話ばっかりしてんの!」という感じに。昔みた自分の母とは別人なのだから、それだけショックなのでしょう。
私は血の繋がりがないので、当然義母の昔を知らないし、それほどの愛着もない分、客観的かつ冷静に義母をみることができます。この感情は介護をする上でプラスになっていると思います。
そもそも。この得体のしれない会話にどれだけまともに付き合ったとしても、解決もしなければ治りもしません。であれば怒ったところで意味があるのか?また真剣に受け止めたとして、この意味不明な会話に終点はないわけで。これまた時間の無駄じゃないかと思っています。だから感情を殺して機会的に処理するのがベスト。
まだほん怖のワンシーンには至っていないので、前回入院前よりはマシです。